【『幸せ』を因数分解する】 幸福の「資本」論 橘玲著 2023

生き方

3つの資本から導き出される人生の8つのパターン

「あなたの人生設計、本当にこのままで良いのでしょうか?」多くの方や著書が、現代社会の複雑さに圧倒される多くの人々に対し、従来の人生設計がもはや通用しないことを鋭く指摘しています。今こそ、人生をシンプルかつ合理的に見直す必要があるのではないでしょうか?

「幸せを追求するための合理的な方法って、一体どんなものだろう?自己理解や経済的自由、そして社会とのつながりを重視し、これらをどのようにバランス良く組み合わせれば良いのか、具体的な事例やデータをお示しします。あなたも、自分の人生を見直したくなりませんか?

「この方法なら、私ももっと満たされた人生を送れるかもしれない…」シンプルで合理的な人生設計は、誰にでも実践可能です。自分の人生をより良くしたい、今の状況から抜け出したいと感じる方には、その鍵となるでしょう。

幸福の3つの土台から、人生を8つのパターンに分類できる。

金融資本、人的資本、社会資本は、幸福な人生を送るために必要な「3つの資本」と言われています。それぞれの資本について、次のような特徴があります。
  • 金融資本: 金融市場への投資で得た富やお金などです。
  • 人的資本: 自分で働いて稼ぐ力、知識・経験・体力などです。
  • 社会資本: 人脈やコミュニティ、家族や友人との「絆」、共同体への帰属意識(アイデンティティ)などです。

また、「自由」は、個人の選択肢や行動の範囲を制限なく決定できる状態を指し、金融資本、人的資本、社会資本の各資本に関連しています。よって自由を要素として組み合わせた、金融資本の自由、人的資本の自由、社会資本の自由が、幸せを構成する三大資本と言えるでしょう。

  1. 貧困:金融資本、人的資本、社会資本がなにひとつない状態。「不幸=貧困」とは、幸福の土台がどこにもないこと。
  2. プア充:貯蓄も収入もほとんどないが、恋人・家族・友だち関係は充実している。地方都市で中学・高校時代の“イツメン(いつものメンバー)”とつるみながらバイトや非正規の仕事をしているヤンキーやジモティーが典型。生活は貧しくても「貧困」ではない(社会資本)。
  3. ソロ充:専門職などでそれなりの収入はあるものの貯蓄はなく、友だちもあまりいない。地方から都会に出てきた大卒エリートの若者が典型。一人暮らしでも、仕事や趣味で充実した生活を送っている。「仕事はできるけど異性との交際にはあまり興味がなく、友だちづき合いが苦手」というのもこのタイプ(人的資本)。
  4. 孤独なお金持ち:仕事はしておらず、家族や友人もいないが、経済的な不安はないというタイプ。独身の退職者のほか、親と同居し、アルバイト程度の仕事しかしていない裕福な引きこもりもこれに当てはまるだろう。こうした人生を不幸(負け組)と決めつけることはできず、好きなことに打ち込める生活はけっこう充実しているかもしれない(金融資本)。
  5. リア充:バリバリ仕事をして、なおかつ恋人や友だちに囲まれているタイプ。東京生まれで私立の中高一貫校から有名大学に入り、一流企業に勤めている若いビジネスパーソンが典型で、SNSで“リア充アピール”に余念がない。インスタ映えする生活を維持するのにコストがかかるので、資産はあまりないだろう(人的資本+社会資本)。
  6. ソロリッチ:高い収入によって資産形成に成功したものの、独身のまま友人もあまりいないタイプ。医師・弁護士などの専門職によく見られる。一見、孤独に見えるが、生活になんの不安もないため幸福度は高い(金融資本+人的資本)。
  7. マダム:「働いていないけれど、お金はあるし友だちもたくさんいる」というタイプ。夫の稼ぎを金融資本に、ママ友を社会資本にするマダムが典型。裕福な退職者(旦那)のほかに、親のお金で好き勝手に暮らしているドラ息子/娘(ただし友だちには人気がある)もこのタイプに含まれるだろう(金融資本+社会資本)。
  8. 超充:幸福の「資本」をすべてもっている状態。理論上はその生活は超充実しているはずだが、現実にはさまざまな制約があり、このレベルに至るのは難しい(金融資本+人的資本+社会資本)。

特に、この関係を整理したのが上記の図16で、幸福の「資本=土台」がなにもない状態が貧困(不幸)で、金融資本、人的資本、社会資本が増えるにつれて幸福度は上がっていきます。

主観的には幸福だとしても、幸福の「資本」が1つしかないのはきわめて不安的な状態となります。プア充が家族や友だちを失ってしまったり、ソロ充が会社を解雇されたり、孤独なお金持ちが投資に失敗して全財産を失ってしまったりすれば、たちまち「貧困」に陥ってしまう危険性もあります。

このように考えれば、「幸福の『資本』を2つもてるようにする」というのが当面の目標になるでしょう。これなら離別や失業、経済危機などで一方の資本を失ってしまっても、残された資本を使って再起をはかることができるからです。

*自由とは: 外部からの制約や強制を受けず、自分自身の意思に基づいて選択し、行動できる状態(自分でコントロールできる状態)を指します。
*自由や幸福に対する欲求には限度があり、特定のレベルで満足することが、長期的な幸福感に寄与するという理解が、学問的にも支持されています。

*ヘドニック・アダプテーション (Hedonic Adaptation):
ヘドニック・アダプテーションとは、幸福感や満足感が、時間の経過とともに新しい状況に慣れてしまい、元のレベルに戻る現象を指します。たとえば、自由が増しても、最初は幸せを感じても時間とともにその感覚に慣れてしまい、また新たな自由を求めるようになります。このため、どのレベルで満足するかを認識し、その範囲で幸福を感じることが重要です。

メッセージ

今すぐ、この学びを実践し、人生の成果を最大化しましょう。今日から始めることが、未来の成功を約束します。

※参考著書:

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